はろいん
「今日は仮装する祭なんだそうですよ」
「祭?」
箸を止めて尋ね返す表情は穏やかで、端正に静かだった。その顔がどんなふうに変わるのか、下心があって水を向けたわけではないけれども。
(―――嘘ですやっぱ見てみたいです隊長の仮装)
どんなものを着たとしても鑑賞に値するだろうが、とりわけて望ましいのは…
東仙はと言えば、賛同すべきなのか、と生真面目に悩む。他人の願いには聡い男である。
「…仮装」
その鼻先で、さりげなさをかなぐり捨てて東仙を凝視する檜佐木。
「……わたしが色つきコンタクトを入れるとか?」
「それは…」
多分タブーだろう。
檜佐木と後輩(阿散井?)
「ん」
「…何だそれ」
「薄荷飴。先輩好きっしょ」
「はぁ?いらねぇよ、てか好きじゃねぇし」
「っすか?あれ、いつも大袋で薄荷ばっかし選んで食ってませんでしたっけ」
「あぁ?…あ」
「………ニマつかないでください、気色悪い」
「そりゃあれだ、隊長が薄荷嫌いだから先に選り分けとくんだよな、いつも」
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