あるとき、死んだらどうなるとかいう与太話になった。

たまたま二人して本隊から分断され、岩壁の向こうに虚が群れている状況だった。死ぬかもしれんな、と軽口を叩けば、返ってくるとも思われなかった返事が後を継いだ。

「―――生まれ直して、また働かされる気がしてならないな。この運じゃ」

「人が人に生まれ変わると決まったものではあるまい」

「君は蜂か」

「貴様も虫だろう」

「さてね。目が見える生き物になってみたい気もするけれど」

「いいな、視野を広げて来い。

 ミズクラゲはどうだ。8つ以上の光学感覚器を持つぞ。脳は無いが」

「…視野狭窄呼ばわりされているのは、わたしに限ったことでもないけど」


「……」

「…………」


「…無機物もありかもしれないね。鉱石とか」

まだ続けるかこの石頭、という罵倒は視線にこめる、が、通じる道理も無く。

「きれいに結晶したら、君に贈るよ」


 

 

 

 


例えば生き終えた誰かが星になるように。