* 性表現あり 閲覧注意

 

 

 

 

 

 

 

痛みよりも腰を押し上げる圧迫感に耐えかね、呻く。

胃の腑がせり上がるような感覚に、よもや外圧に耐えかねて腹の中身が逆流しているのかと、ふと思い、嫌気が差して想像を打ちとめた。

入り口の裂けた痛みはとうに忘れた。今は腹を揺すり振る重みが障って、気が滅入るばかりだ。

―――ナニやってんだか。

後悔は無く、けれども情交の昂りも失って、手持ち無沙汰に。生おえの自分を見下ろして。こうなってしまえば、マグロになった方が楽だ。行為を愉しもうなどと思い始めたら、少しも快楽を与えてくれない背中の熱を恨んでしまいそうだった。

「わりぃ、 な」

笑い含みの声に、頤を上げて振り向くようにする。不自由な姿勢、それでなくとも暗い室内、顔は見えない。

それでも、闇のなか、確かにぎらつく双眸をみたと思う。

―――アンタのそんな声、初めて聞きましたよ。

余裕のうちにも熱を含んで。腰の振動と声が身体の中で混ざって、それが熱源になる。それが消えなければいいと、益体も無いことを考えた。

唇が欲しくて、けれど背に圧し掛かられたその体勢では叶わず、ただ右手を伸ばした。僅かにたるんだ皮膚の下、細い筋肉が躍動する。日頃気だるげな動きしかしないこの肉体にも、仕事を与えたのだとおかしくなる。その右手を掴まれた。

よく知っている瞬間だ。挿し抜きの速さと腰骨を掴む力で、判る。右手を捻り上げられて少し痛い。収縮した全身が一気に弛緩する。指先に熱。唇を寄せられたのだと知って、崩れる身体を抱きしめたいと思った。

抜き出される感触はゴム袋を引き摺り出すそれそのままで、純粋におぞましさに鳥肌が立つ。なのに転がる図体は愛おしくて思わず縋りついた。

「んだよ、丸太」

大量消費する大型の検体と同じに呼ばれても、今は腹もたたない。面倒臭そうに処理をする背中を抱いて、一人ニマついていた。

「いや、あんな顔すんだなと思って」

 

 

 


BLというものを甘やかに描ける人はすごいと思います(大事なので何度でも言う)