甘いものは嫌いだと。

 たとえばわたしが回した貰い菓子には、盛大に顔をしかめてみせるくせに。

 やつの淹れたミルクティには、必ず砂糖が入れてあった。

 

「………あまい」

別に感想を求められるわけではないので黙っていればいいものを、つい零してしまうのは、甘みが記憶の中で労わりだとかやさしさだとか、二人の間にふさわしくないものと結びついているからだ。割れた爪に糸が絡まるのを厭うように、私はそれを振り払わずにはいられない。

 「………」

 やつは何もいわない。茶の添え物だと思っている節のある、どこまでも完璧な笑顔。茶葉の香りの奥に壁をつくる単調な甘さ。

 「毒でも入れたか」

不要だというのに。こめかみから、髪に指が差し込まれる。私はこの毒に抗するものを持たない。やさしい褐色のゆびの放つ、どく

 

 

 

 


だめだこいつら早く何とかしないと(お前だよ!)