例によって理由の曖昧な酒宴、儀礼的に酌を差してまわる。その途上、なぜかよびとめられた。

 前にしたのは、二番隊長。日頃とりたてて馴染んでいるわけでもない。勿論。ただ、互いに相手の様子を伺いながら(そうなのだと思う。この間合いは)、杯を傾けること二度三度。

 

 「ーーー先ごろ、松本がこちらに来てひとしきり騒いでおった」

 二番隊の隊主は、とりあげるのも馬鹿馬鹿しいという体でそれを口にする。

 「貴様の話題だった。伊勢。

 ―大前田と、『七緒ってお似合いだと思いません?』だそうだ」

 「…また馬鹿なことを」

 笑い飛ばすにはあまりにあその口調が冷め切っていて、七緒はかえって  その誘いを一蹴することができない。 

 「子供でもあるまいし、当人のいぬ間にどうこうはせん、と言っておいたがなかなかにしつこくてな」

 (…)

 胸のうちで友人を張り倒す。正直なところ、この圧迫感だけで、持ち込まれた見合い話を蹴るに十分といっていい。

 「え、えぇ勿論砕蜂隊長を煩わせるようなそんな―――」

 「―――与太話と、聞き流して欲しいのだが」

 「正直、悪くない話だと思った」

 なぜそうなる。

 「手前のことで言い辛いが、彼奴はあれでそれなりにできる人間だ。少々品位には欠けるが、人望もある――――面相には難があるが…」

 知っている。気のいい男だ。しかし、

 「身の回りが多少うるさそうに思えるかも知れんが、あれで遊び方は弁えているようだしな。品はないが」

 しかし、

 「無論、奴には願ってもない話だろう。貴様ならば」

 「…勿体無いお話だと、思います」

 引き攣った表情をそのままに、常套句を示せば、砕蜂はくしゃりと表情を緩めた。

 「いや、悪かった。―――なれない役だとて、必要以上に薦めすぎた」

 「いえ、あ、はい。決してお人柄に不満があるためにこう申し上げたんではなくて…」

 「…?」

 「あの」

 相手は、自分と職務(それが十番隊の副隊長に面白半分に押し付けられたものにもかかわらず)に対してあくまでフェアであろうとした。

自分も、そうでなければならない。ならない気がする。

 「じ、自分より巨乳なかたとお付き合いするのは辛いなって…」

 「………………………」

 「………………………………………………」

 「…たしかにな………………」

 

 同時に漏らした溜息は、ふたりの胸のうちに反響して、思わぬほどに深いものになった。

 


うっわこのふたり絡ませづれぇ!

ところで砕蜂ってすっげー嫌々言いながら、めっちゃ楽しく二番隊に通ってる気がするんですけど気のせいですかね。

 後日談?→ そんなもの

 

 

 

「せめて胸囲だったら良いんですけど・・・」

「いわいでもいい。奴のあれはカップの問題だ」

「そうなんですよね…」