妙なる

漫画感想

真面目に漫画批判ばかりしてると私が死ぬので。いやダメなものをダメと言わないでいても死ぬんだけど。プレゼンではなく感想。あと疑問。

 

なお今回この禁を破ってます。まぁ…大丈夫、だろ………

私が手をつけたと表明したものは大体出版社の経営か作家の能力か倫理観か寿命かの点で問題が出るので、だいたい完結してる作品しか挙げません。挙げないようにしてます(真顔) 

『群青にサイレン』 桃栗みかん

 

修二と空はイトコ同士。かつて空のせいで野球をやめた修二は、高校の入学式で空と再会。体の小さな空を見て、「今なら勝てる」と思った修二は野球部に入部することに…。

 

 

※こんなんアリ???

先に書いとくけど打ち切りendですよ。いやきれいにまとめてあるとは思うけど。

 

(以下リアルタイム悲鳴でお送りします)

これめちゃめちゃ面白い。絵が綺麗かつ見易いし(でも没個性ではない)話が進むにつれて浮かび上がってくる個々の個性と情念の濃さが、読んでてまったく飽きさせない。かといって演出過剰(を感じさせる此方の冷め)や露骨な感情誘導もない。ごくごく自然に漫画に没入してごく〃登場人物を応援してるという。

 

しかも野球知識皆無で読める。(知識興味0の私が言うんだから間違いない)

作中ゲームが、ちゃんとメンバーの技量を利用した戦術合戦と心理戦の集大成で面白いと思える。(根性論とスペック合戦でない)

―だってジャンプだよ?絶対スポ根と超常能力と女子のケア労働&エロサービス規範強化、しかも野球だから将来を潰してもこの一球…!的な刹那の美になってると思うじゃん。なのに少なくとも半分読んだ今、片目瞑って読まないかんとこはない。驚異。

 

いや凄いわ。真っ当なドラマが展開されてその情の濃さに呑まれる。

ていうかこんなに、読者の目が回りそうなほどドラマぶっ込んでくるってあり???この代替不可な二人の、相手の幸福が自己の十全とイコールでなくてしかも片方はそれに気づかないままそれなかりせば一選手として死ぬみたいな。行き場のなさ。どう転んでも幸福な共存はなく、しかし高校生の狭い世界では限られた時間とはいえ夢を追う期間すべてが偕老同穴の苦行という(大好物) 何なん。このあらゆる方向へ張り巡らされた罠。

 

しかしほぼベタ塗り三角眉毛が端正に見えるってすごいな。よっぽどバランスがいいのだろうか。桃栗氏のセンス。

 

つのお前、お前だけが献身役にならなくていいんだぞ……!余談:毎話コメ欄がガチ保護者/ファンの巣みたいになってておもろい(斜に構えたオタクのふり)

 

濃すぎて死ぬ。しんどい。

 

 

―――と、熱狂してたところで最終回に追いついてしまって呆然自失でしたよ。いや終わったというのは聞いてた、聞いてたけどさ、実際読むまで信じられなかったもの。あれだけ見事なドラマがあって魅力的な登場人物がいて(ガチファンがついてて)(いやキャラへの執心は資本投下と同義ではないのだが)、今後に期待できる種が沢山鏤められてたのに、本当に連載終了するのかと。

こうやって"面白さ"を投げ捨てて"人気"やこの時代のJUMPカラーに拘泥するから嫌いなんだよ、JUMP編集部(八つ当たり)(あながち八つ当たりでもない気がする)

 

 

『ゴールデンカムイ』 野田サトル

 

なんとなく避けてたけど文句なしに面白い。

21巻まで読んだとこです。なおアニメとか知らない。そしてすでに語られ尽くしてるので特に語るべき点は残ってないな…

写真の使い方とかデジタルでの漫画作成についてのお手本みたいな感覚もあってそれも楽しい。いや私は漫画描かないけど、技法書って眺めるだけでも楽しいじゃん。

 

あっ、いつもなら月島にハマってそうなのに全然ピンとこないのは残念だったかな。多分、未読の時点で二次とか眺めて勝手に、あの顔は鼻を削がれた表現だと予想してたのに天然モノだったせい。スカーフェイスの期待が裏切られた(笑)

動物多いのに全然自分では描く気にならないの、ちょっと珍しい。

 

 

『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』 加藤元浩

 

知の象徴である“C”“M”“B”の3つの指輪を持つ少年・榊森羅は小さな林に建つ森羅博物館の館長。広範な知識を持つ反面、一般常識にはかなり疎い。そんな森羅と、情にモロくて仁義に暑い女子高生・七瀬立樹が様々な事件に挑んでゆく。

 

『Q.E.D. ―証明終了―』

『Q.E.D.iff ―証明終了―』

この人のミステリ好き。暢気な感じがいいんだよな。

これは漫画という媒体とジャンルとキャラ文化のいいとこ取りしてる。トリック―というよりも物語を支える謎の構築がべらぼうに巧いし、体系化された知識を組み込んで見せるのがうまい。興味の対象も博物学と文化文物、世界中・天体・古代~現代まで広いから気分に合わせて楽しめる。

 

絵は巧い…んだけど漫画的表現と服のデザインがちょっと……

人体もクロッキーは巧いと思うんだよ。Twitterに載せてる、子供の動きの鉛筆スケッチなんかは凄く魅力的。だけど漫画になって出してくる絵は、首が変だし髪がフィギュア?みたい。まぁ髪と服は男性漫画家には多いパターンといえばそうだけど。

ペンの風景画はめちゃめちゃ魅力的に描けるんだよな。表紙は途中から写真加工とか使い出してしまうのでちょっと残念だが。(もっと見たい)

 

人情ないし耽美と似非ペダンチシズムに傾倒した「本格ミステリ」、あるいはトリック数にあかせた薄味読み捨てミステリ、「魅力的な探偵」のために倫理と論理を放棄したキャラ物に飽きたひとなんかには、ぜひ読んで欲しい。

 

 

 

『絶対可憐チルドレン』16巻
『絶対可憐チルドレン』16巻

『絶対可憐チルドレン』1~16巻とか無料分 椎名高志

 

エスパーがあらゆる分野で活躍するようになった時代。超能力者の中でも最強超度[レベル]7のエスパー、薫・葵・紫穂の3名は、特務エスパー「ザ・チルドレン」として幼少時より超能力支援研究所「バベル」に所属。…エスパーと普通人(ノーマル)、両者の溝が広がっていく世界を救うため戦い続ける、ザ・チルドレンのSFアクションコメディー大作!!

 

これは…面白いんだけどなぁ…

いやギャグもさえてるし―「普通の人々」のパロディ好き―、絵は安定してアップデートしてるし、意外にもロリコンハーレム幻想抑えてあるし(後述)、こういうタイプの漫画家には珍しく服も可愛いし(乳袋がない)建築物も丁寧で好感が持てた。エスパーを扱っていながら、オカルト・スピ系啓蒙はない(ESP研究自体が似非科学であるとは言わない。かなり危険だけど。という立場です私)し、限界値・制約の設定がちゃんとされてて応用に知恵と工夫が駆使されてる。ただ、能力バトルの宿命というべきか、能力値インフレはある気がするけども。でもご都合主義はコメディ漫画の加減に収まってると思うんだ。

 

ただなぁ。

5巻くらいまでか?一読して「すげぇいいじゃん」と思ったんですよ。女子児童を描いていながらそこに児童への欲望を含ませていない。男主人公(その時点で狂言回しだと思ってた)は向けられる情愛をちゃんと子供と大人間のそれ以上には決して返していない。また、子供をその能力とは別に、意思決定と境遇の点でちゃんと庇護すべき存在だと描いている。←ここちょう賞賛。

なんだけど。

再読して小骨が気になってしまって。具体的な話、最初は「小学生のパンチラを好い鑑賞物・作品世界ないし読者世界=現実の人間へのサービスとして描いてない!エライ!」と思ってたんだけど、再読したら「そもそもパンチラを描く必要がなくね?」と思ってしまった。

正直言うと最初その辺全然気にならなかったんだけど、amazonレビューで指摘されてて気づいちゃってなぁ。(いや気づかない方がよかったとはいわない) そこで一個目についてしまうと男性主人公の庇護―その意思を善なるものとして描く作者の姿勢は評価しつつも―も読者のメサイア願望誘発弾なんじゃないかって、連鎖的に…

 

あと私の根気の問題…話としては、3人が大人になっていく過程と世界を二分するコンフリクトとか絶対面白いのに、3人が中学生になったからもういいや、みたいな…しかも50何巻とかあるとね、もうなんか食指が萎えちゃってね……いやでも一気読み勢としては「あの我侭なガキンチョの話が面白くて読んでたのになんだこの悩み多き慈愛の天使は」ってなっても仕方なくない?(笑)

 

 

ところで貼ってる画像の建物がどこの何だったか思い出せなくてやきもきしてるwので誰か教えてください。

ポンピドゥセンターに始まる透明外壁外エスカレータの、日本での模倣例としてよくあがるやつだと思うんだよ。絶対モデルにしたリアル建築がある。この写真見たことあるはず。でも誰の何だったか思い出せない。ああ気になる。

 

 

 

『うらたろう』+他作品 中山敦支

 

源平合戦。『平氏』が『源氏』に逆転大勝利したパラレル鎌倉時代! 舞台は、現在より夜が暗く…妖魔蔓延る日本列島! 不治の病(?)に侵された少女は「不死」を求める旅に出る。出会ったのは…800年以上、生き過ぎて「死にたい」と願う不死身の男。「生きたい!」と願い「死にたい!」と願う。対照的で似た者同士。そんな二人は生・逝きる為、供に旅立つ!!? 超鬼才・中山敦支が贈る「一生懸命生きて逝きたい」不死身と不治身のデス・ロードッ!

 

 

何かどえらい事件を見たな、みたいなきもち。

漫画が面白いとか気に入らないとかそういう話じゃないッ…!漫画家の所業ですげぇもん見た。

 

目玉剥くような凄まじい打ち切り超展開。

「好きになれないけどめちゃめちゃ強烈で見事な表現と狂気で打ちのめされるなー私には刺さんないけど合う人にはキマるだろうなスゲーなー」って思いながら読んでたら6巻…………???超展開と暴走と突然の終幕―――こんなんあり得るの?

いや『群青』みたいにきれいにまとめるよりブン投げendのほうがある意味自然なんでしょうけど。いや、この投げ方はすごい。単に放置しただけではなくその前段階にキャラクターの設定値や存在意義を書き換える大回転があった後での筋道投げ捨て暴走に重ねての伏線放置の感動のハッピーエンドなので「何を見せられたんだ」感が凄い。

呆然。確かに通常でないかたちでぶった切られてるんだけども、それ以外に奇抜な箇所があるから実はこれが完成形なのでは?という疑いも捨てきれない。いやおかしいんだけども。

 

あ、中身はふつうにたぶん面白いんだと思う。強引だし根性であらゆる理を変えてしまうタイプでnot for me だけど。でも絵の表現力は凄いし、偏愛―登場人物の異常な意志も魅力を覚える人には煽情ポイントになるだろう。

 

この作家の全般的な紹介でより適切なのはこちら↓↓

とある漫画家について(勧めるとは言ってない)

 

 

一応他の作品もざっと眺めてみたんですけどね、私には合わないけど面白い作家だと思う。オンナノコが自分の志に献身し幸福になるというスタンスや女リョナが好きならハマるだろう。愛と執着と結果に至る根性への偏執は凄い(全部同じじゃねーか)。なので、原作つき『コックリ魔女裁判』はつまんないですね、作者が執着する対象が描けてないので。いや2話しか読んでないけど。

 

いやーふつーに好きで定期的に追ってたらついに気が狂ったかと疑うと思うよ。(作者が?自分が?)

 

 

『ぼくは童貞魔法つかいのいいなり』 AJS

 

イヤなあいつにベタ惚れされて困ってます――…。デザイン科の優等生で遊び人の渋谷伊月はゲイで開通済みだが“未挿入”のある意味での童貞。そんな渋谷は誕生日を境に25歳童貞に覚醒すると言われている魔法の力を手に入れる。

 

 

いやごめん、エゴサで読まれたらマズいなと思ってTwitterでは「面白い」って書いたんだけど、別に面白いと思ってないです。。。ごめん。やはり私は Boys ’Love’ 漫画に興味ないわ…

 

いやこの漫画で言いたいことは感想とかそんなことではなく、出版社のやり口への不満なんだよね。事実誤認があったら教えてください。

これ、翻訳のときに固有名詞を日本の諸々に変換してるだろ。何故そんなことをする?

左右反転は仕方ない(道着が左前になってるけど)としても人名や地名は漫画世界で思索するときの楽しみな訳よ。置換は必要ない。既知・身近な文物でなければ親しめない/感興を得ないほど、読者は頑迷ではない(……差別バカである可能性は確かに否定しない) 普遍的なテーマを扱ってて"色"つけたくないのかもしれんけどさ、完璧に余計な作業だ。

あとその翻訳監修の名前出してないじゃん。文責・功労者の名を伏せるって、出版社として最悪な態度では?(現にゴーストライターが活躍している業界とはいえ)ソルマーレさんよ。

 

 

 

『ルームメイツ』 近藤ようこ

 

60歳、還暦を迎えた三人の女性が、同窓会での再会をきっかけに同居をはじめる? 結婚できなかった女に、愛人だった女、夫を愛せなくなった女――。人生にどこか「失敗」の要素を抱える彼女たちが、生き生きと再生していく物語。

 

ご本人が漫画図書館Z版を紹介してたので。

こういう生活が描かれた漫画、苦しいけどすごいと思う。妥協をちゃんと書いてるんだけど同時に人間の妥協出来なさもそこにあるし、それに対する作者のまなざしも優しい。

ちなみになんだけど、漫画図書館Zにはちょっと不信感持ってる。上記の作品は作者本人がlink貼ってらしたので読んだけど。

ロイヤリティがすごく安いっていう話。そして絶版になった書籍を公開するというのはいいんだけど、やっぱ事後承認て怖くてなぁ…二次やってるような人間が言うことじゃないけど。それに、"絶版になったから"という建前で掲載してるのに復刊した作品が掲載され続けてるのもなんか気持ち悪い。いや「オフィシャル作品」って書いてあるから作家側の合意はあるんだろうけども。

 

邪神ハンターピーチドラゴン』←復刊してる。今買える。なのに掲載し続けてるのはいいのか?許可取り消し忘れてない?権利者さん…

 

「マンガ図書館Z」で、作家が得られる収益が激減?

マンガ図書館Zで公開されていた『この女に賭けろ』が無断転載だった件のまとめ

 

 

『D.Gray-man』5巻くらい?  星野桂

 

いや紹介する必要はないし感想もないんだけど、ちょっと参考までに。

作品というかデザインセンスと巧さには舌を巻くんだけど。

 

私にとってはこれこそJUMP漫画って感じだなぁ。なんか凝った風な設定(でもどっかで聞いたことある)・おしゃれ/きれいな絵・いい感じのファッション・理屈はあっても真理はない・掴みどころのないかわいい女の子・太ゴシックに映える決め技・唐突な日本要素…要素ごとに見ていくと魅力的なんだけど、総体では私に一切響かない。

いや何となく面白いのは感じられるし人気があるのも得心がいくよ。説明しろっていわれても無理だけど。

で、そのJUMP全体の"合わなさ"ってどこから来るんだろうと。

 

【結論ないよ】

JUMPはたぶん戦略眼はすごいんだよな。当たり前だけど作品同士が競合しないようにかなり厳密に調整してるっぽいし。だからこそジャンルは違えど"王道"を並列で商品にできる。

JUMPとJUMP+の違いがよくわかんないまま書くけど、JUMPのなかでジャンルごとにその時点での推しメンがあるよね?なんか最近『地獄楽』推してるのって『キメツ』が終わったからじゃねぇの?(いやそれらは競合=同じカテゴリ・客層の漫画じゃないだろう) 

編集の関与がアンケート至上主義がどうこうっていうけど、それらを経て生まれる結果は人気と売上げであって面白さじゃないんだよな。いや私の感覚が面白さの客観基準だなぞと僭称するつもりはないんだけども。"面白い漫画を描く人を重用する"のと"面白いものを構想する"と、"面白さを分析して方法論として蓄積し利用する"と"新奇なもの・社会に求められるものを面白く演出して出す"と"人気が出る展開や構図を適切に配置する"のはそれぞれ違うし。ただ言えることは、JUMP編集部はこれだけブランドが確立してたら当然その活用にも長けてる。但しそれは人気や売上やメディアミックス(みんなをもうけさせかつせかいにさくひんをかくさんするしくみ)の拡大についてであって、例えば服飾系ハイブランドのそれとは違う。

これ言ったら前述の傲慢になるとは思うんだけどさ。週間JUMPに関しては掲載が決まりさえすれば、どんなに面白くなくてもアニメ化とかある程度の"成功"が約束されてるじゃないですか?

単行本が同じ発行部数のJUMP作品で『エリア51』に匹敵する面白さの作品、ありますか?(血走った目)逆に言えばそこまで面白くなくてもある程度の発行部数と知名度が約束されてる、それがブランドじゃないですか?

いや『エリア51』がJUMPの戦略に合わないとかその辺の事情はあるだろう。そもそもデビューがJUMPじゃないことや、週間連載への親和とか、派手さがないみたいなテイストの問題や枠―大御所長期連載・ギャグ枠・スポーツ枠・和物枠・挑戦枠みたいなのがあって同時掲載の作品が競合しないようにしてるでしょ?―の戦略に沿わないみたいな問題、プレッシャーの大きさなんかは勿論あるんだけど、それがブランドの力でしょっていう。

 

で、JUMPのブランドって曲者で、今けっこう旧弊スレスレの位置にあると思うんだよ。昔東大文系の話でよくいわれてたけど(今は改められたと思いたい)、"とにかく先駆的・独自色のある論を出せ、論の検証と深化は他の大学の追随者がやるから"ってやつ。まぁその"先駆的"の中身は海外権威の焼き直しでしかも論証と適用の妥当性証明が不十分だったりするわけだけどね、これは今も。JUMPは逆に"王道"を担ってる訳だけど、その王道自体が真理としての王道ではなく多数の支持によって王道と追認されている現状がある。権威となったものは他に対する牽引力あるいは抑圧装置としてはたらきうる。JUMPは娯楽漫画の定義自体に影響力を持ってて、その面白さには多数による共感や陣営ゲームという要素が確実に入ってる。

つっまんねぇ前近代の遺物みたいな価値観を内包していても(あのミソジニーを見よ!)、JUMP自体が価値観の再生産システムの大きな一部なのでそれが"今"の正統なる価値になる。

ただ、日本企業の資金的体力がなく、消費者の側の知的―というと何だけど知的営為に割く余力・感情的体力がなくなっている現状では、困窮企業は外れる賭けはできないし消費者が自ら埋没作品を探したり海外物の翻訳意欲を持てない。結果、挑戦ができるのもJUMP(集英社)みたいなpower(企業体力組織力/権威)ある企業*だけということになってしまうのであってな…

上述の『群青にサイレン』は打ち切りやがったけど、『ゴールデンカムイ』がかなり旧弊を脱した価値観とともに面白く、ちゃんと広まったのもJUMPの企業体力あってのことだと思うんですよ、しらんけど。

 

要は今JUMPは老害と先駆者、二つの顔を持ってて、私は今の段階では功罪の"罪"のほうが大きいと思う…というよりも"罪"の中身が嫌いなあれなんだよクソが!っていう話です(全然要約じゃない)

 

 

 

*あるいは過去には、宗教法人付属の出版社や何かの業界紙みたいな、人気にそれほどシビアではなく長期間比較的自由に執筆ができる特殊なエリアがあったことも付記しておきたい。横山光輝の『三国志』や諸星大二郎『西遊妖猿伝』のような長編が潮出版社の手を経て(私が両著を評価するかは別の話)、中野美代子の名著『綺想迷画大全』が『歯医者さんの待合室』雑誌コラムから始まったことは記憶されたい。…あといっこ、ここで挙げるべき例、JAかなんかの機関紙(チガウ)に連載されてた名コラムがあった気がするんだけど失念。

潤沢な資金と安定した掲載環境は社会に資するんだよ。そしてそれはすでに失われた。…いやどうだろう、宗教団体は余裕あるのかな、このご時勢。

 

 

まぁ私はすべての信仰ダイキライな人間なので宗教誌を焼き払うにためらいはないんですけどね!!!!