滅びの美学

とはいうものの…

逆に廃れていくその過程におぞましさを感じるのも人間だと思います。対象が、鑑賞者の理想とする状態から離れただその哀別や愛惜だけを感じさせる、始点よりも終着点を想起させるまでになれば、美しいとも惜しいとも思えるでしょう。が、理想から何かを欠いてただその埋めるべき欠如を思わせる様ならばそれは必要以上に見苦しく疎ましいものに思えるのではないでしょうか。

 

具体的にいうと、’00年代前半ぐらいのサイトの雰囲気とか構成とか見たら思わずひるむ人が多いんじゃないですか?

勿論、その時代を我が身を以って経験しているならさらに。自分自身の後悔や何やらと強く結びついた風俗だったのではないかと。

 

 

そんな古いサイトをめちゃめちゃ集めてみたよ!!!

→2018年2月 再構成

 

ちょっとよければ↑見て行ってください。そして私の疑問に答えてほしい。

(私この時代にネット関係の活動してなくてよかったー…してたら多分相当辛かっただろうと思うこの作業)(今現在進行形で失敗しまくってるのはもういい)

 

結局何をやったのかというと

トリブラの同人サイトを集めてその時代の雰囲気で並べてみた、ってだけなんですけどね。

 

以下箇条書きで意図するところなどをメモ。色々考えたいことが出て来ましてねー。 

・思いつき

  ①散逸する"好きなジャンル作品"を収集したい

    トリブラってすごく変な同人ジャンルだと思ってて、コスプレとそれ以外の同人活動の比がすごく極端。二次創作のなかで、その活動を体系化するサーチやCPの仕分けがあんまり機能してなかった、あるいは機能するほどの規模がなかったように思える。恐らく原作の対象年齢が低いことやあまりにカリカチュアライズされた人物造形に、他の作品で主体になるような"大人(大学生以上)"があまり参入しなかったせいだとは思うんだけど。(かろうじて網羅的なサーチをつくったひとはなんかトラブル起こしたらしいし)

    それで今に至るまでまとまった集合がなくてひたすら消えていくだけ、と。じゃぁちょっと集めてみてみよう、というのが今回のこれ。

  ②消えていくある時代の風俗(ネット文化)を収集したい

     数件集めてみて驚きましたね。ふっるいサイトの雰囲気がそのまんま(≒更新されてないということでもあるけども)。黒背景に†とか半角カナとか、久しぶりすぎて…!これはちょっと遺産として残したいっていうか残すのは無理だけど、せめて私一人でも観測しないと勿体ないっていうか…!

・記録

  今ガラケー向けサイトを作ろうとしても無理ですからね。ひとつのサイト文化としてそういうものがあったって残したいじゃないですか。どうせいつかは消えてしまうにしても。

・定点観測

  消えてしまうのは仕方ないんです。元がホスティングサービス終了するかもしれないし。でも、2017年この時点で10年以上前のものがこれだけの残っててどう見られるか、ってのはちょっと残しておくべきかなって。

 

経緯

 他のジャンルはともかくトリブラなら「全部」を網羅することが可能なんじゃないか?という思い付きがコンプリート願望を突いてきまして…(これは性向。drawrもワンドロの収集も全部そうなんで…)

 やってみる→00年代前半が最盛期らしく、その時代らしいサイトデザイン・ガラケー仕様に釘付け→これを残したい→あの頃らしいバナーとテキストを並べるやり方を採用

 勿論ここにリンクを集めたところで「残せる」わけではないんだけどね。元サービスが終了すればそれで終わり。ここにあるのはバナーだけで。

 見せ方に関して言えば、逆にもそっと見やすくて且つ古臭くないレイアウトもあるんですけど。サーチっぽくタグクラウド使うとか淡色のベースつくって並べるとか、背景色のフォトギャラリー使って並列化するとか。でもそれじゃないでしょ、これに合うのは!って思ってバナーとテキストをあわせるあのかたちに。

 

感想ーサイト文化について

・ホスティングサーバも弱い

  ホスト自体がサービス終了してるサイトが多いこと多いこと。ほんと、データっていっても永続的なものじゃないんだなぁ。

  その中でforestの強さは眼を見張るものがある。これが後述する夢=名前変換小説の興隆や残存に繋がるのか?

・今後の閲覧mannerについて

  今後のサイトやSNSやギャラリーサービスは規格が統一されていくんだろうと。今回見た古いサイトたちは、サイトごとにコンテンツの展示方法が全然違ってて。見るのに戸惑ったりするんですよね。探す一手間があったり。画像開くといちいち別窓閉じなきゃいけないとか。そういうのが閲覧者側に与えた影響ってかなりあったはずですし。そこを理解しないと見たいものにたどり着けないし、ましてつくり手に回ったときに模倣する対象がそこになるし。

  ○リテラシ無しで鑑賞するマスvs特殊な内部ルールを要求する従来の同人文化

 ガラケーサイトに顕著なんだけれども、画像は一動作おいて無闇に落とさないようにするとか、ディレクトリを入れ子にして深い階層構造をつくるとか、知ってないと戸惑うような構造がある。感覚的にサムネをクリックすれば目的地に辿りつけたり、全てを並立においてタグで目的のものを選別する今のやり方とはかなり対照的。

 

  今は各種SNSやギャラリーのベースは固まってて、何のリテラシもなく多くのものを鑑賞できる。閲覧に当たってのコストは阻害としか認識されない。それを必要とした時代の文化が再形成されない。そもそも並列で多数の作品をほぼ同時に消費できるから、多数の閲覧者が少数の創作者を支えるピラミッドが成立しない(リテラシを容れられなければ次に行けばいい)。

 

 

感想ージャンル固有の問題

 ・腐向けが滅茶苦茶弱い

   原作がHLを推してることを鑑みても、HL・BL・HL夢小説・BL夢小説の割にすごく差がある。ついでに言うと、トリブラとゾンゼロはその同人規模に対してコスプレの割合が物凄く高いと思う。驚くほど目につく。恐らく類似の要因で、小説に対する漫画の比率も小さくなってると思う。これが不思議で。

 

  →腐向けは消滅しやすいのか?という疑問

  トリブラに関してはあまり同人サイトを見てなかったんで、―最盛期やその後においての―BLとHLのサイト数・作品数の比較のしようがないんだけど、でも腐向け(マタペテ・トレス受け)のサイトや同盟が消えたことは覚えている。―勿論把握していないHLや夢小説も同時期にガンガン消えている可能性もあるわけだけども―"隠れなければならない"と常に迫られている腐向けは、ひょっとしたら放置時に痕跡を消すのが不文律?少なくともその傾向はある気がするんだよな…

 

 ・夢小説のこの凄まじい数は何なのか

  夢小説サイトが半数を超えている。これ異常じゃない?どのジャンルでも夢小説の割合がこれほど高いのか?今まで夢小説全く見てなかったから感覚がわからないけど、でも今ざっと調べたとこでは(2017/3/10時点)、物語があるジャンルでこれほど夢小説が多いのはなさそうなんだが。

 サイト数

  モブサイコ  総数 58 夢 9

  BLEACH    総数 235 夢 40

  スレイヤーズ 総数 84 夢 4

 pxv小説作品数 (名前変換がないサイトであることを勘案すべき)

  モブサイコ 643 モ夢サイコ 8

  BLEACH 10,814 +夢小説 256

  トリブラ 87 +夢小説 0  トリニティ・ブラッド 53 +夢小説 2

 

  勿論トリブラみたいに「扱ってるサイト全て(目標)」を浚った結果でなくざっとサーチいくつかを使ってみただけだし、blchにいたっては複数のサーチで比較してるから参考値でしかないんだけど。

  それとも名前変換が出来るサーバがたまたま今生き残ったせいなのか?この頃夢小説が大ブームになったのか?夢小説を好きになる層とトリブラのそれがめちゃめちゃ重なっているのか?

 

 ・ring、同盟、ランキングの乱立

  昔の携帯サイトはlinkが弱かった、繋がりが可視化されにくかったから、あんなにringだの同盟だのが流行したんだろうか?

 

 

等々、疑問が尽きないわけです。この辺じっくりおいおい考えていきたい。

 

2017/3/16 pxv作品数にblchとTB追加

 

 

ただ、なんにせよ、同じものを見ている他者の見解が目に見えるというものはいいものだ…。

刺激になる。

 

例えば、"セスのことをカテリーナに報告しようとしたエステルを遮ったアベルに、ひどくショックを受けた。彼女に対しては隠してほしくない(うろ覚え)"

って一文を見てふと思ったんですが、カテ様は兄妹のことを知らないのかなと。知っててもおかしくないというか願望に近いけれども、既知であってもおかしくは…あぁ駄目だ、あれだけ苦労して帝国とのパイプを繋げるよう探っておいて、兄妹のつながりを利用しないはずがない。知ってたら最初っから潜入させるわ。(追記:時系列間違えた。潜入前の時点ではアベルも確証持ってないから利用云々は不可能。カテ様が知ってそうなのは、アベルの宿敵が同類であることくらい?血縁とまでは知らないかな…)

個人的には「エステルがそれを知っている」という事実をカテリーナに教えたくなかったアベル、というのが面白いんだけど、その可能性は0だなぁ。