なんか大変なことになってるらしいですね本誌のほうは。
又聞きの断片情報だけで踊ります。っていうか書きかけのいくつか、決定的な解釈間違いが確定する前に一応あげとこうかなって。やまなしおちなし独り語り。
「七緒ちゃんは極楽鳥花がにあうねぇ」
間延びした口調で益体もないことを口にしたのは、(不本意ながら)われらが隊長である。
「その、不本意っての、いらないと思うんだけど。ちゃんとお仕事してるでしょ、ボク」
「珍しく出勤なさったかと思えば、決裁3件目にして雑談をお始めになる状態をちゃんと、と呼ぶのであれば」
「ボク手と口はいっぺんに違うことに使えるからさ」
「それは宜しゅうございました。それでは先月欠席なさった予算会議の議事録を読み上げますので提案修正と疑義回答をお願いいたします。勿論お手はそちらを進めつつ」
「…やーそれはー」
問答無用で日時から読みあげを開始する。本気になればこれくらい容易いだろう、彼には。どうせ回答書を用意するのはわたしなのだから、可決だけ判断させればいいのだし。
「―――…本当に、似合うよ。それは覚えておいてね」
嘘だ。無味乾燥な数字の列から目を離さないまま、胸のうちで呟く。
極楽鳥花は鮮烈な印象を与える。橙と瑠璃の対比も鶏冠を振りたてたような鋭い容も、目に鮮烈だ。平凡な容姿をもつわたしがその形容にふさわしいとは、到底いえないだろう。
「極楽鳥花は、立ち姿がうつくしいんだよ」
まだ無駄口を。いい加減に注意を加えようとして、議事録を離した。
とたんに目尻の下がったいつもの隊長と視線がかち合う。
「倒れちゃいけない花なんだ」
当たり前だ。あの花種は花の落ちた後、その高い位置からそのまま種子を振り零す。倒れてはならない。芽を出す前の種を腐らせてはならない。
言わんとすることがなんとなく読めて、憂鬱になる。
―わたしはむしろ、倒されても折られても葉を伸ばす強さに憧れるというのに。それを得る前に、この人はいつもわたしを背にして刃を振るう。
(倒れてはいけないと命じるのではなく、不撓であれと願ってあなたはわたしを庇護しようとする)
「…」
それがわたしを世界から置き去りにする行為だと、知らずにいるのか。それともわたしの意など汲む価値も認めていないのか。日頃異様な程に人の情に敏いこの人が、ひどく盲目的になる。
「いつも背筋を伸ばしてるキミはすごいと思うよ」
何者にも動かされない、そういう乾いた砂のような、言い換えれば鈍磨した皮膚を私は鎧う。この人の目に映るわたしは、いつまでもおさなごで、その手は甘やかにわたしを守ろうとする。
動かされてはならない。隙を見せてはならない。わたしを揺るがす声に、耳を傾けてはならない。何よりもそれに縋っては、いけない。きっと、力強い双翼をもつ梟の巣は、あたたかなその柔毛は、立ち上がれないほどに足を萎えさせる。何者にも侵されない掌中の珠を手に入れたいと願うのは、この男の欲であってわたしが択ぶ道ではないのだ。
「ありがとうございます」
わたしがこの男の娘であればよかった。庇護を当然のものとして享受して、やがて当然のこととして巣立つことができたのに。副官という立場は、ときに血族以上に永続的な関係を要求する。けれど
「ただ、」
戦時なのだ。この関係が、否、この二つの命が永続するとは、限らない。明日、どちらが欠けるのかはわかるものではなく、そして護廷における副官の役目とは、あたう限りふたつのうち隊長のいのちを継続させることなのだ。補佐や位階の継承など、二次的なものに過ぎない。
「わたしが立ち枯れずにすみますよう、いま少し効率的に決裁を進めていただければ」
へらりと笑ったのを視界の端にとらえて、右手の筆を置いた。
長身の隊首が首をもたげるまで、十秒。その瞳を見つめ返して、もう一度言った。
「京楽隊長、」
たとえ、花と例えられても
「わたしは貴方の棺に添えられる仇花になる気だけはありませんから」
生き延びるべきは貴方だ。そのためには、この身は盾となり剣となる。
BLEACHにみるおさよう2態
師匠ぜったいおっさん・幼女好きだよー。
というのはおいといて。ものすごく勝手なおさよう語り。
なんかですね、剣八とやちるは互いのこと人がましく思ってない。人と人としてのありうべきかかわり方とか距離感とかそれを周囲にどう示すかとか全然ない。ただ、ひたすらに魂のそこから相手のこと信頼してるし惜しい命だと思ってる。でも何をおしても守らなきゃいけないとか守られたいとかはないと思う。剣八は闘いたいっていう己の欲望が至上命題だし、そこにやちるを関与させようとか武器や盾にしようとかは一切ない(「やちる」って名づけたからには、そこに楽しみを見出す自分の何かを継いで欲しいという思いはあったかも?あるいは剣八の知るなかで最も喜ばしく美しく、近しいものが、その名前に集約されているのかもしれない)。でも自分が楽しいことを喜んでくれる相手だって互いに知ってるし、そのために離れられる。
京楽と七緒は、どっちも自己完結型。京楽は伊達者としてのスタンスを保ったまま七緒に対峙しようとするから、もうひたすらに庇護しようとするし、ある意味型にはめようともする「女の子がそういうことをするもんじゃない」。リサが帰ってこなかったときのまま、リサを惜しんで、助けられなかった自己への憾みをそのまま七緒に向けてんじゃないか。
七緒も、四角四面な自分の性格を自覚してそれを気ままな京楽のバランサーとして活かすことに、なんとなく安堵感を覚えてるような。ていうか七緒側の描写が少なすぎてよくわから…まあとにかく、京楽は―光源氏計画も含めて―いとけないか弱い存在を掌握する愉しさを味わってるだけなきがする。幼女のわがままも皮肉も、彼にとっては小さなバラの棘に過ぎなくて、それで自分が変わるほどの意味は持ち得ない。大事だしかけがえのない存在だけど、たくさんいる女の子のひとり、個性のレベルでしかないんじゃないかな。なんかあそこまで"遊び"をアイデンティティに結び付けて描かれてなおかつ色好みがそれに加わると、女は彼にとって一本線を引いた向こう側にしかおき得ないんじゃないかと思ってまうわ。
そういう意味で、京楽に本当に重大な動揺を与えることができる人物はどっちかっていうと、同性同業の浮竹に思えてしまう。あー私なんで京浮読めないんだろう勿体ない。絶対面白いのに。
さあ、これが 71巻でどうひっくりかえされるかな!